2013年9月にIOC総会で2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定したとき、不動産に係わる多くの方が、2020年(実際は、2019年?)までは不動産市況は大丈夫、という印象を抱いたと思われます。
今がピークなのか?それともまだまだ上昇機運にあるのか?不動産に関心のある方にとって重大な課題です。
①不動産価格を決めるものはなにか?
不動産価格は、長期的な成長率と人口の増加率に対して正の相関関係があります。ただ、その時々の不動産価格は、需要と供給のバランスや投資資金の流入・流出の状況に強く影響を受けます。
また、ミクロ的には、例えば財政負担の削減を目指した都市のコンパクトシティー化を政策的に推し進めることにより地域の中心部と周辺部での価格差の拡大という影響もあります。
②日本の経済成長率と人口推移は、どうなる?
IMFという国際機関の経済成長率の予測(World Economic outlook Databases)によると年次による凹凸はあるも日本の経済成長率は、2017年をピークに右肩下がりを示しています。
また、総務省統計局より日本の人口推移に関する統計資料が公表されています。この資料では、平成20(2008)年の128(百万人)をピークに減少するとしています。
③需要と供給のバランスは、どなっているのか?
2015年1月1日からの相続税の課税強化を受けて、相続税対策の一環でアパマン投資が大きく盛り上がりました。また、公的年金への不安から家賃収入への関心が大きくなりアパマン投資が盛んです。
現時点では、ピークを過ぎた感がありますが、ミニバブルという状況を呈しています。
④政策の影響はどなる?
郊外に大規模ショッピングセンターが林立し、郊外に住居地域が拡大したのは昔物語となりました。住居地の拡大により行政サービス費用が増大し財政が耐えられなくなりました。
そこで、平成14(2002)年に都市再生特別措置方が制定され、平成28(2016)年9月に一部改正する法律が施行されました。
これは、拡大した拡大した住居地域を都市の中心部に集約して行政サービスコストの低減も目的としています。これにより都市中止部と周辺部の地価格差は拡大の方向に可能性が大です。
⑤その他の要因はあるのかな?
景気の気は気分の気、という諺(?)があります。これをアパマン投資などの不動産に当てはめると、前述のように相続税対策と年金不安対策の両輪で誰も彼もアパマンで対策という気分です。
ただ、このように気分で動く状況は、些細な弾みで回転が逆転する可能性があります。訪日客が急増しています。2016年の実績が24(百万人)で、2020年には40(百万人)との目標を政府が掲げています。
2020年以降に3(百万人/月)以上の来日客(ホテル・民泊需要)があれば、人口減を補って余りあまります。
●まとめ
2020年のオリンピック・パラリンピック後の不動産市況は、霧の中ですが、日本が抱える基本的な要件は、楽観的ではありません。ただ、相続税対策や年金不安は、個人の行動への影響が大きい要素です。
また、訪日客の増加は人口減の影響をキャンセルするだけの威力があります。これらを考慮すると不動産市況の暴落は無いと願いたいものです。ただ、地価の二極化は避けがたい状況です。
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