コロナで住宅ローン破綻者が増えてるニュースは本当なの?

今回は、新型コロナ住宅ローン破綻者が増えているニュースについて、本当なのかを記事にしていきたいと思います。

2020年以降、コロナの影響で住宅ローン破綻のニュースをよく見かけるようになりました。10人に1人が住宅ローン破綻なんて記事もあったぐらいです。

 

そこで、今回は現実にはコロナの影響で住宅ローン破綻が起きているのかということを実際の数字を利用して考察していきます。

住宅金融支援機構のリスク管理債権

利用するデータは、住宅金融支援機構のデータになります。住宅金融支援機構は、「フラット35」などの住宅ローンを組む公的機関です。

その住宅金融支援機構は、毎年リスク管理債権の数値を公表しています。リスク管理債権とは、なんらかの理由によって返済されていない。滞納している住宅ローンのことです。

リスク管理債権推移

平成27年度 5.12%
平成28年度 4.52%
平成29年度 3.94%
平成30年度 3.49%
令和元年度 3.20%
令和2年度 3.48%

住宅ローンが実際に支払うことができない人が増えているのかというと、この数字を見ればコロナ前とほぼ変わらないということが言えます。

これは、年度で統計をとっていますので新型コロナで学校が休校になったり、緊急事態宣言で経済が回っていない期間も含まれています。

 

なので、実際にはコロナで住宅ローン破綻が著しく増えているかというと答えは「NO」になります。それは、実際の数字で把握するべきだからです。

では、コロナで経済活動が止まっているにもかかわらず、数字が増えていないのかというのも考えてみたいと思います。

住宅ローン破綻者はなぜ増えていない?

ここからは、住宅ローン破綻者が増えていない理由を見ていきます。あくまで仮定なので、そのあたりはご了承ください。。

データは少しずれる

まず、住宅ローン破綻者が増えていない1つ目の理由は、データは少しずれるからです。このデータでは、3ヶ月以上滞納があってはじめて人数にカウントされます。

なので、令和3年度に人数があがってくる可能性はあります。なので、少しずれているというのが1つ目の理由です。

コロナ版ローン減免制度の拡充

2つ目の理由は、コロナ版ローン減免制度ができたことです。1つ目の可能性よりも、ローン減免の可能性の方が高いです。

ローン減免制度は、もともと自然災害のためにもうけられた制度でした。それを、コロナにも適用しました。

 

具体的には、コロナが理由で支払えなくなったローンの返済を減免するものです。清算型もありますが、将来の継続収入が見込まれる場合は、金融機関と合意して分割で返済すれば家を失いません。

支払える金額を5年間かけて、払っていくというスタイルになります。なので、当面の負担はすごく軽くなります。

 

対象の借り入れは、2020年2月以前に借入れたすべての債務が減免になります。そのため、住宅ローンの返済に困っていた場合、金融機関の方から債務者にその話がいくそうです。

金融機関からの連絡を無視していると、競売に流れていってしまいます。しかし、金融機関からの連絡にきちんと対応していれば、このローン減免制度の話になり手続きすることになります。

 

そのため、余程のことがない限りはコロナ渦の現在は、不動産が任意売却や競売に流れていくことはなくなっています。

コロナの状況の前は、返済条件の変更は余程のことがないと認められませんでした。住宅ローンと同様の厳しい審査のもと、ようやく期間延長や返済猶予ができるようになっていました。

 

なので、住宅ローン破綻者が増えていないのはこれが一番の原因だと思います。

任意売却や競売が増える時期

最後に、ここまでのことを踏まえて今後の話をしていきたいと思います。当面は、ローン減免制度があるので住宅ローン破綻者はそこまで増えないと思います。

少なくても、この2年間はそういった運用をしてきました。なので、2025年あたりから住宅ローン破綻者が増えるのではないかと予想されます。

 

また、今後このローン減免制度がいつまで続くのかというのも大きなポイントになります。これが早い段階で打ち切られるようなことになると、翌年ぐらいから増える可能性はあります。

2020年、2021年にローン減免していた人が幸運で、なんとか耐えてきた人が不幸になるというのはちょっと問題なのかなって思います。

 

なので、少しでも住宅ローンに不安がある。コロナの影響で、仕事がままならないという状態であれば、早めにローン減免を申し出るということを頭に入れておくことが重要です。

それを知っておくだけで、自分の財産を失わずに済む可能性があります。なので、飲食店や旅行会社に勤務している方は、こういった制度を把握しておいた方がよいと思います。

まとめ

今回は、住宅ローン破綻者がコロナになって実際に増えているのかどうかを実際のデータを使ってみてきました。

実際には、住宅ローン破綻者は増えていないというのが結論でした。その理由としては、コロナ版ローン減免制度の運用で、かなり取り立てを緩くしているからだと思います。

 

私もいろんな記事を見て、住宅ローン破綻者が増えているとばかり思っていました。しっかりと、データを確認せずに思い込みで判断していました。今回、改めてデータの重要性を感じました。

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