今回は、任意売却が偏頗弁済(へんぱべんさい)にならないのかについて解説していきます。一般には、偏頗弁済って言葉がすでに難しいです。
そのため、今回は偏頗弁済とはどんなことを言うのか。結論、任意売却が偏頗弁済にならない理由についてお伝えしていきます。
偏頗弁済は免責不許可事由
そもそも、偏頗弁済がどんなものなのかというのを知らないと、任意売却との関係もわからないと思います。そこで、まず偏頗弁済がどういったものなのかみていきます。
偏頗弁済とは?
偏頗弁済とは、いろいろなところから借金をしているのに、特定のところのみに返済することを言います。
例えば、A社500万円、B社500万円、C社500万円借りているときに、A社だけに500万円返済をしていることを言います。
これは、B社、C社にも本来返済しなければならないところをしていないので詐害行為にあたります。そのため、B社、C社は詐害行為取消権を主張することが可能です。
免責不許可事由
偏頗弁済は、詐害行為になるだけではなく、自己破産の免責不許可事由になっています。自己破産は、免責がおりて初めて借金がチャラになります。
偏頗弁済は免責不許可事由ですから、自己破産ができても免責がおりない可能性があるわです。免責がおりなければ、自己破産しても借金はキレイになりません。
そうなると、任意売却後に残った借金をチャラにする王道である自己破産が使えなくなるのでは?という疑問が出てきます。
任意売却をする際に、他にも多数借金をしているのに抵当権者にだけ返済するのは、偏頗弁済になるのではないかという論理が成り立つからです。
任意売却と偏頗弁済
結論からいうと、任意売却は偏頗弁済にあたりません。そのため、任意売却後に残った借金を自己破産して免責が不許可になるということはありません。
その理由は、任意売却は抵当権がついているからです。抵当権がついているということは、その不動産が担保に入れられているということです。
ローンの返済がない場合、抵当権者は不動産を競売にかけて優先的に、返済を受けることも可能ですし、任意売却に応じて優先的に返済してもらうことも可能です。
なので、A社500万円、B社500万円、C社500万円借りているときであっても、抵当権をつけているD社がいるのであれば、不動産からの返済はD社が最優先になるわけです。
そのため、金融機関は不動産を担保にお金を貸すという行為を好んで行っています。特に、最近の金融機関は人を見て融資するのではなく、担保があるかを第一に融資しています。
抵当権がついている以上、その不動産の売却代金が抵当権者に優先されるルールになっているので、偏頗弁済にはあたらないのです。
逆に言うと、抵当権がついていない借金の場合は偏頗弁済に注意していないと、自己破産の免責許可が下りないおそれがあるので注意しておきましょう。
まとめ
今回は、任意売却が偏頗弁済(へんぱべんさい)にあたらないのかを解説してきました。結論は、冒頭に書いていた通り任意売却は偏頗弁済になりません。
その理由は、不動産の場合は抵当権があり、抵当権者がその不動産から優先的に回収できる権利があるからです。
そのため、抵当権がついている不動産を売却したケースで、抵当権者に全額支払ってもそれは、偏頗弁済になりません。
不動産は、抵当権者が優先される原則をしっておけば難しい言葉(偏頗弁済)という言葉を知る必要は特にありません。
任意売却後に残った借金処理の王道が自己破産になっているのは、こういった面からも問題ないと言えるでしょう。
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