今回は、住宅金融支援機構(旧・住宅公庫)の任意売却の特徴を解説していきたいと思います。他とどこが違うのか。どういった特徴があるのかなどを具体的に解説していきたいと思います。
もし、あなたが住宅ローンの支払いに苦しんでいて、フラット35など住宅金融支援機構で住宅ローンを組んだのであれば最後までご覧ください。
住宅金融支援機構の特徴
まず基本的なこととして、住宅金融支援機構は固定金利で有名なフラット35などの住宅ローンを販売しており、最も住宅ローンを貸し出しているところの1つです。
少し前までは、住宅公庫という公的機関でした。現在は、独立行政法人になっていますが、変わることなく住宅ローンの貸し出しは多いです。
任意売却に積極的な債権者
住宅金融支援機構は、任意売却に積極的な債権者の1つです。それは、住宅金融支援機構のホームページを見てもわかります。
こちらのページを見ていただければわかるように、任意売却をおススメしています。
任意売却をお勧めする理由
●通常の不動産取引として売買されるため、一般的に競売より高値で売却できることが期待され、お客さまの負債の縮減につながります。
●任意売却パンフレットに定める手続にご協力いただける場合、お客さまの状況により売却代金から不動産仲介手数料、抹消登記費用等を控除できる場合があり、また、お客さまの残債務の状況等により延滞損害金減額のご相談に応じられる場合があります。
●裁判所による手続である競売と比べると、ご自宅の引渡時期についての調整がしやすく、ご自宅退去後の生活設計が立てやすくなります。
そして、任意売却を広く応じるために任意売却のパンフレットや書式も用意されています。自動的に競売になる債権者もいるなか、任意売却に積極的であることがわかります。
代位弁済がない
まずは、こちらをご覧ください。住宅ローンを支払えなくなってから、競売に流れていくのは以下のような順番(流れ)になっています。
税金・住宅ローン等の滞納 |
督促状・催告状 |
期限の利益の喪失 |
代位弁済の通知 |
債権者による競売の申し立て |
差押え登記・競売開始決定通知 |
執行官による現況調査 |
入札期間・開札日の通知 |
競売情報の公告 |
競売入札の開始 |
この流れの中で、通常の債権者は代位弁済後に任意売却になります。しかし、住宅金融支援機構には代位弁済がありません。
これは、住宅金融支援機構が住宅ローンを契約する際に、保証会社との保証契約を結ばないためです。
通常、銀行は住宅ローンが支払われなくなった時のために、保証会社と保証契約を結びます。そのため、もし住宅ローンが払えなくなっても保証会社から代位弁済されることで損失を防ぎます。
しかし、住宅金融支援機構はそのような仕組みをとっていません。もし、支払えなくなってしまうと期限の利益を喪失した後、しばらく期間を置いて競売の手続きに進んでいきます。
そのため、通常の債権者は代位弁済があった後に任意売却をスタートさせるのに対して、住宅金融支援機構は期限の利益を喪失した段階、少し早いタイミングで任意売却が可能になります。
競売手続きが進むと任意売却できない
通常、任意売却は図の代位弁済以降に可能になります。それが、住宅金融支援機構には代位弁済がないので期限の利益の喪失から任意売却が可能なることをお伝えしました。
任意売却は通常、代位弁済がされてから競売の開札日の前日まで可能です。しかし、住宅金融支援機構の場合は競売が進むと任意売却が難しくなります。
独立行政法人という準公的機関なので、競売の手続きが進んでいくと、誰が見ても公平な手続きで進めていきたいという希望があるからです。
どこかの不動産業者と任意売却をして、割安で売却したと問題になる可能性もあるので、競売が進めばそのまま、競売でという運用が行われている特徴があります。
この辺りは、公的な機関なのである程度は仕方ないのかなと思います。債権者の立場を考えると、誰が見ても公平な手続きをしておくというのが大事なわけです。
住宅金融支援機構の流れ
ここまで、住宅金融支援機構の任意売却について代位弁済がないので、期限の利益の喪失から可能であることをお伝えしてきました。
ただし、競売に突入するとそのまま流そうとする傾向があることをお伝えしてきました。
なので、住宅金融支援機構は早い段階での任意売却を積極的に推進していることがわかります。期限の利益を喪失してから、競売の申立て前に任意売却を進めるのが重要になってきます。
だからこそ、住宅ローンが払えない状況になると早めに経験のある任意売却業者に相談するのが良いと言えるわけです。
もし、住宅ローンが滞納しそうということであれば、その時点で任意売却業者に行く。そうすることで、選択肢が増えます。
もしかしたら、借り換えだけで済むかもしれない。今であれば、コロナのローン減免制度もあります。リスケだけですむかもしれない。
それらを考慮したうえで、任意売却をしようと考えるのであれば、期限の利益の喪失まで住宅ローンの支払いを完全にストップします。
中途半端に住宅ローンを支払うと任意売却できないのでご注意ください。この住宅ローンをストップしている時に、お金を貯めておく。
税金の滞納を支払っておくなどのことが重要になってきます。税金や国民健康保険などは、仮に自己破産したとしても残ります。それらは優先的に支払いましょう。
まとめ
ここまでお伝えしてきた住宅金融支援機構の任意売却の特徴を最後にまとめておきます。
これらのことから、早めに動けば任意売却がうまくいきやすい債権者であるといえるでしょう。
●早い段階の任意売却に積極的
●期限の利益の喪失から任意売却可能
●代位弁済がない
●競売が進むと任意売却を受けにくい