今回は、競売物件のリスクについて5つ解説していきます。競売物件は、相場よりも安く買える可能性が高いというメリットがある一方でリスクもあります。
そのため、リスクをしっかりと把握したうえで入札に参加しましょう。ちなみに、競売物件は5つのリスクがあったとしても、入札に参加するのを私はおススメしています。
後半には、リスクがあったしても競売物件に入札する理由もお伝えしますので、最後までお読みいただければ幸いです。
競売物件5つのリスク
ここからは、具体的な競売物件のリスクについてお伝えしていきます。大きなリスクから、小さなリスクまで存在しますので、すべてご覧ください。
内覧できない
競売物件を落札するにあたって、最も大きなリスクはこれだと思います。内覧できないことです。内覧できないことの何がリスクか?
それは、リフォームする際の費用がわかりづらいという問題があります。リフォームにある程度、知識を持っている人であれば、BITの写真を見ればどれくらいの費用で可能かわかります。
しかし、一般の方がリフォームにいくら必要かなどはわからないと思います。例えば、内覧ができるのであれば、リフォーム業者と一緒に行けば見積りをとってもらえます。
競売物件の場合は、それができないということでリフォーム費用の見積もりができないというのが一番のリスクです。
物件調査が必要
競売物件については、bitの中で3点セットという詳しい資料があります。これについては、宅建業者が記載する重要事項説明書より信頼できます。
なぜなら、自分が利益を得るために作られたものではないからです。不動産鑑定士等が客観的に見て記載しています。
なので、仲介手数料を得たい不動産業者の重説より遥かに信頼ができます。とはいえ、物件調査は自分でしなければいけません。
隣との境界がどうなっているのか。3点セットに書かれている資料が間違っていないのかをご自身でチェックしておく必要があります。
普段から物件調査をやっている業者であれば問題ないことですが、一般の方にはちょっと難しいかもしれません。
もし、3点セットに書かれているものと現状が大幅に異なっていた場合は、代金納付前であれば執行抗告の申立等をして売却不許可、売却取消しをしてもらうことが可能です。
代金納付をした後についても、「瑕疵の予測が困難であった」、「損壊などの瑕疵の内容,程度が大きい」を満たしていた場合に、売却許可取消されることもあります。
ただ、基本的にはすべて自己責任というのが競売物件になります。その点は、リスクになります。
契約不適合責任がない
競売物件の場合は、売り主がいませんので契約不適合責任が存在しません。契約不適合責任とは、2020年の民法で、瑕疵担保責任から改正された買い主保護の条項です。
契約不適合責任とは、契約内容と異なるものを売却した場合、その責任を売り主に問えるというものです。
例えば、雨漏りをしていることを知らずに購入した買い主は、契約書に雨漏りをしているとの記載がなければ、売り主に責任を問えるというものです。
しかし、競売物件の場合は雨漏りをしていることが3点セットに書かれていなかったとしても、それが予見できる状況であれば、そのリスク込みで購入したことになります。
競売物件には、一般の買い手保護のルールが存在しません。競売物件がすべて自己責任と言われるのは、そのあたりに起因しています。
管理費等を引き継ぐ
マンションの競売物件を購入すると、ほぼ必ずといっていいほどマンションの管理費が滞納されています。
その滞納管理費や修繕積立金、駐車場代の未払いが前の所有者にあると落札者が滞納金等を負担することになります。
前に住む人の滞納管理費なんて、支払わなければならないの?って思うかもしれませんが、マンションの管理組合はそのような規約を作って運営しています。
なので、前所有者のマンション滞納管理費等を支払う必要が出てくるということになります。ただ、この点については、3点セットに必ず書かれています。
だから、その分を差し引いて入札すれば大きな問題になることはありません。あらかじめ、購入費用として予算を立てておきましょう。
立ち退き交渉より荷物
競売物件を落札した後、住んでいる人と落札者の間で立ち退き交渉が必要になります。これについては、別の記事「競売の立ち退き交渉は簡単」で書いています。
この記事に書いている通りにやれば、ほぼ100%の確率で立ち退きしてくれます。暴力団等がいれば警察を連れていけばOKです。
なので、事実として立ち退き交渉は不動産業者の新人がする業務です。最も簡単な仕事なのです。やり方さえ知っていれば誰でもすることが可能です。
インターネット上の記事などを見ると、出ていかないリスクがある。追い出し交渉のリスクがあると書かれていますが、実態は引越し代を用意しておけば出ていってくれます。
問題は、それよりも荷物になると思います。特に、もう前所有者がいなかった時の荷物についてです。処分した後から、これが高かったなどと言われてしまう可能性があります。
落札後、連絡をとれずに物をずっと保管するわけにもいかないので捨てたら、あとで大事なものだったとお金を要求してくる輩が存在するのです。
そっちの方が余程、リスクが高いです。正しい手段としては、強制執行をして執行官に処分をしてもらうというのが正しい手続きになります。
しかし、強制執行を行うと残置物撤去費用、運送業者の費用、執行当日の人手等の費用、保管のための一時倉庫の費用等がかかってきます。
その後に、動産の公売・処分という流れになります。この費用がすごくかかります。100万円単位を覚悟しておく必要があるでしょう。
転売を中心に行っている不動産業者は、金目のものだけ写真とって保管しておき、他のものは捨てているところが多いです。
もし後から言ってくる人がいる場合は、損害賠償で示談しています。実務的には、そのような流れでしているところが多いですが、正しくは強制執行⇒保管⇒公売です。
まとめ
ここまで、競売物件の5つのリスクについてお伝えしました。5つのリスクの中で、実は大きなリスクになるのは内覧できないことだけです。
こちらについては、リフォーム費用が見積もることができないリスクがあります。しかし、他の4つについては大きな問題になりません。
契約不適合責任は、最初からないと思っておけばしっかり調べます。3点セットに書かれていることをよく読めば、しっかりかかれています。
物件調査もそんなに難しいことをするわけじゃありません。境界の杭を見るとか、あと住んでいるかどうかの確認をするのがメインです。
住んでいるかどうかの確認は、荷物のリスクを防ぎます。住んでいないところの競売物件は、荷物を置いていかれるとリスクが高い。
なので、住んでいるところのみに入札して、落札したら立ち退き交渉の際に「明渡合意書には動産の処分」を入れておけばリスクはなくなります。
そう考えると、残っているリスクは内覧のみになるわけです。リフォーム費用が算出できないのは痛いですが、それでも競売の入札に参加するメリットはあると思います。
格安で仕入れることができれば、不動産投資や転売の成功はほぼ間違いないです。無理な金額で入札しなければメリットの方が格段に大きいと言えるでしょう。
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